平園クリニック

平塚市岡崎の内科・婦人科・健診

 

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絵のある待合室 第15室

 

絵のある待合室141

 

 中村直人 「童女立像」 1927頃 50㎝ 

奇跡的によくぞ残っていてくれた!中村直人の最初期(22歳頃)の代表的な作品であり、同じような童女作品が資料図版で残っている。長野の旧家から出たとのこと。名古屋の画廊から譲ってもらった。直人は私の好きな院展の作家のひとりでもある。北村四海、武井直也など長野出身の彫刻家はイイ作家が多い。

絵のある待合室142


 吉田白嶺 「異教徒」 1933 木心乾漆 47㎝ 第12回再興院展出品作

凝視しても木彫と見紛うような出来であり、乾漆研究をしていた白嶺の貴重な代表作である。現存している乾漆作品はほとんどないだろう。白嶺研究には不可欠な作品でもある。天草四郎の潔く颯爽とした姿は心を打つ。白嶺の並々ならぬ技量とセンスは一線を画す感がある。

 

絵のある待合室143


 戸田海笛 「洋犬」 大正期 24x10x14㎝

非常に珍しい海笛の動物彫刻である。小品ながら洋犬の佇まいがよく出ている。なめらからな肌触りと呼吸と内臓の動きが体温として感じられるのは、その天性の彫技の成せる所以だろう。ファラオファウンドに似ているとの意見もある。犬に詳しい方はご教授願いたい。

 

絵のある待合室144


 

牧 雅雄 「兎」 不詳 18㎝

小田原の生んだ院展の俊英である。作品数は少なく出会いを待っていた。この作品は平櫛田中コレクションにも収蔵されている作品でもある。小さいが優品である。

 

絵のある待合室145


 兵頭和男 「洋梨」 6号 油彩

兵頭は「横浜洋画中興の祖」と勝手に評価している。当時異端であった兵頭スタイルが、横浜洋画の王道となるには苦労と貧困の歴史があったのだ。「兵頭和男と横浜の画家たち」北湯口隆夫著は是非読んでほしいと思う。兵頭ファンは多いと聞く。神奈川に住む者にとって兵頭作品を持つことはささやかな恩返しでもあり礼儀でもある。

 

 

絵のある待合室146


 

 三岸黄太郎 「静物」 不詳 8号 油彩

滞欧~大磯在住で活躍した湘南ゆかりの作家である。父は好太郎、母は節子。天才と努力家の両親を持ち黄太郎氏はどのような作家人生を送ったのだろうか。是非、自伝を書いてほしかった。この作品は作家本人にも見て頂き初期作品であることは論を待たない。男絵をこれほど繊細に図太く詩的に淋しく描く作家を他に知らない。黄太郎氏の心中の成せる画風だったのだろうか。ご冥福をお祈り申し上げます。

 

絵のある待合室147


 

 本荘 赳 「ばらをいけた壺」 1978 10号 油彩

本荘 赳の作品の中でばらを描いた名品として知られていたものである。某企業の社長が秘蔵していたが手放すとの情報が入り、旧知の画廊を通じてゲットした。当に名品である。壺は古瀬戸である。いわゆる「ばら」でなく、本荘の「ばら」である。別格なのである。

  

 

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 武井直也 「裸婦立像」 28㎝ 清水多嘉示箱書き

武井直也は夭折した彫刻家の中で好きな作家のひとりである。この作品は後年、清水の監修のもとで鋳造した作品であろう。いずれにしても貴重な作品には違いない。天を見つめ身をよじる裸婦の造形表現は浪漫である。ギリシアとブールデルと日本の魅力が一度に堪能できる作品であろう。

 

絵のある待合室149

 

山羊時代の風景画 辻 永(1884~1974)  「風景」 1912 SM 板油彩

この作品は辻永28歳のもので、現存する辻作品の中でも最初期に当たる貴重なものである。この年には青山熊冶とともに写生旅行をしておりその時の作品かもしれない。また、この年には和加子夫人と結婚(岡田三郎助媒酌人)し、中村屋で中村彝と懇談している。1911年自信作が落選し、憤慨した辻は本郷の第一倶楽部で個人展覧会を渡欧する大正9年まで毎年開催したほどの反骨漢であった。この作品の風景を特定しようと、水戸市立博物館に調べて頂いたが不明であった。私見では聖橋から見たニコライ堂ではないかと考えている。皆様のご意見をお聞かせ願えれば幸いです。当時、南薫造を親友・ライバルと目しながら山羊の画家として名を知られていた辻青年が描いたこの作品には南の影響が見て取れる。この作品は後の風景画家として大成する辻永の原点を見るには十分な優品であると思っている。失われた風景と忘れられようとしている地味で暖かな画風は、日本洋画として忘れてはならない大切な部分を思い出させてくれる。

 

 

 

 

絵のある待合室150


  阿部金剛 「郷愁」 1932 4号 油彩 個展出品作

阿部金剛全盛期の優品である。キリコの日本での移入を考える上で重要な作品でもある。国立近代美術館の大谷省吾氏が「阿部金剛イリュージョンの歩行者」1999本の友社を出されている。阿部金剛を知る基礎資料の決定版である。書斎絵としては一級の格とセンスがあり、男の書斎にはピッタリな作品である。